感光変色石
別項『飯盛石を合成する試み』で飯盛が趣味でいろいろの石を造ったことを述べましたが、その一つに感光変色石があります。 これは光を当てると発色し、暗所に置くと色が無くなり、元に戻るというものです。このように光によって可逆的に発色する ことをフォトクロミズム(photochromism)と呼びます。

天然にはハクマナイト(hackmanite) という鉱物があり、フォトクロミズムを示します。飯盛は感光変色石を造るにあたり、 ハクマナイトを念頭に置いたのは確かですが、成分は異なり、ハクマナイトを模造したわけではありません。ハクマナイトは 遠紫外線にしか反応しませんが飯盛が作った感光変色石は青、紫の可視光、近紫外線やX線にも反応するものでした。

「造石道楽」の中で造った石は、ほとんどが遊びでしたが、この感光変色石に関しては遊び半分、本気半分でした。と云うのは、 製造法の特許を取得しているからです。特許公報の中で、何か有用な目的に利用できることを示唆していますが、残念ながら 実用化はされなかったようです。

「造石道楽」には、当時 (昭和40年頃) 試作中だった日焼けする石 (感光変色石) に宝来石と名付けた、とありますが特許のことは 書いてありません(特許を取得したのは昭和43年)。 その頃のノートを見ると処方をいろいろ変えて何種類もの感光変色石を試作しているので、特許を取得した感光変色石と宝来石が イコールなのかどうかは定かではありません。

アメリカの大手ガラスメーカーでパイレックスで有名なコーニング社は、似たようなメカニズムで発色するガラスを1964年に開発 しました。最近ではこれを応用した調光サングラスが市販されています。

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