理想の宝石のメモ

[手書きメモをテキストに打ち直したもの]
「理想の宝石」とは 昭和44年5月20日誌

 見る人の心情を反映して時に透明、時に半透明、時に不透明に見える、形は球形でその周囲を5ミリ程の厚さに朦朧と光彩の霧の如き層が取囲んでおる。わが心が春風駘蕩たる時にこれを見ると霧が霽れて石そのものは無色透明で中心から七彩の光祥を発散してキラキラと最もきれいに見える。しかし心が固く閉じ、あるいは激情に浮いておるときに見ると、霧は霽れずその包囲を通じて全く不透明の白い石に見える。そして普通の常(状)況のときに見ると霧は霽れたり、かかったり石は七彩に輝いたりまた光を収めたり、異様に心情を煽る。そこで自ら春風駘蕩の気分に立直ると忽ち七彩の光祥を放って透明の玉となって見える。よって自分はいつもこの石がかく透明に七色燦然と輝いて見えるよう常に自誡するようにさせる偉大な功徳を具えた石である。

(注)霽れて:はれる (雲や霧が)

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